ケイカル板とは
2025/12/11
ケイカル板とはどんな建材?
ケイカル板(けい酸カルシウム板)は、ケイ酸質原料や石灰質原料を主成分とした建材です。水や熱に強く、燃えにくい性質を持つため、住宅では軒天井材や内装壁、外壁下地など幅広い用途で使用されています。石膏ボードと比較してより水分に強く、カビや腐食の発生を抑えることができるため、特に湿気が多く水濡れしやすい箇所に使用されやすい傾向があります。
外壁材としてのケイカル板は、耐火性と耐水性に優れており、火災時の延焼を抑えたり、雨水や湿気から建物を守る役割を果たします。不燃材料として国土交通省の認定も受けており、安全性を重視する住宅や施設で採用されることが多い建材です。また、表面が滑らかで加工しやすいため、塗装やタイル仕上げなどの施工が容易で、仕上げの自由度が高い点も評価されています。
一方で、ケイカル板は吸水性が高いため、外壁として使用する場合は適切な下塗りと防水塗装が欠かせません。塗装を怠ると、雨水の浸入によって内部が膨張・劣化しやすくなります。そのため、定期的な点検と再塗装による保護が推奨されています。塗料の選定では、アクリルシリコン系やフッ素系など、耐候性と密着性を両立したものを選ぶことで長持ちしやすくなります。
ケイカル板はその性能の高さから、2006年以前に建てられた建物にも多く使用されていますが、古いものの中にはアスベストを含むタイプもあります。ケイカル板には「第1種」と「第2種」があり、密度が高く比較的重い第1種はレベル3(比較的飛散性が低い)、軽くて厚みのある第2種はレベル2(飛散しやすい)に分類されます。この分類によって、アスベストの飛散防止対策や廃棄物としての処理方法も異なります。そのため、リフォームや解体を行う際には必ず事前調査が義務付けられています。調査や分析は専門機関に依頼し、安全を確認したうえで適切な塗装や改修を行うことが大切です。耐火性・耐水性・施工性を兼ね備えたケイカル板は、現在でも多くの建築物で選ばれている建材のひとつです。
ケイカル板と石膏ボードの違い
建築現場でよく使用される「ケイカル板」と「石膏ボード」は、どちらもボード系の建材ですが、素材構造や用途などが異なります。それぞれの特徴を理解しておくことで、施工場所や目的に合った資材を正しく選ぶことができます。
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項目 |
ケイ酸カルシウム板 |
石膏ボード |
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第1種 |
第2種 |
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素材・構造 |
無機質のケイ酸質や石灰質を主原料に補強用繊維を添加 |
石膏を芯材に両面を紙で挟んだサンドイッチ構造 |
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薄くて重い |
厚くて軽い |
軽い |
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強度・硬さ |
硬いが衝撃には弱い |
柔らかく衝撃に弱い |
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耐火性 |
高い |
比較的高い (紙部分は燃えやすい) |
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耐水性・耐湿性 |
高い (適切な塗装を要する) |
低い |
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加工性 |
比較的高い (施工時にひび割れやすいため取扱いには注意が必要) |
高い |
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価格 |
やや高い |
比較的安価 |
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このように、水回りや外気に触れる部分ではケイカル板が適し、乾燥した室内では石膏ボードが扱いやすい傾向があります。建物の用途や環境条件に応じて適切な建材を選ぶことが、品質維持とコストの両立につながります。
アスベスト含有ケイカル板の見分け方と適切な対応とは
アスベスト含有のケイカル板は、見た目では通常のものとほとんど違いがありません。そのため、肉眼で判別することは難しく、製造年代や材質の特徴から推定し、最終的には分析調査で確認することが基本となります。
まず、2004年以前に建てられた建物の場合、アスベスト含有の可能性を前提として調査する必要があります。
外観から判断できる一つの目安として、表面を指でこすった際に繊維状の物質が見える場合は、アスベスト含有の可能性があります。また、建材をわずかに採取して酢に浸してみると、アスベストは酸に溶けにくいため残ることがあります。ただし、これらの方法はあくまで参考であり、安全上の理由から自己判断での確認作業は避けるべきです。アスベスト含有の有無を確実に知るには、JIS規格に基づく分析調査を行うことが必要です。
調査の際には、設計図書や納品書などから使用建材の製造年を確認し、必要に応じて分析機関へ試料を提出します。特に、2006年以前に新築着工された建物では、法令により事前調査が義務付けられています。調査の結果、アスベストが含まれていた場合は、湿潤化や隔離養生などの飛散防止措置を講じたうえで、専門業者による安全な除去が求められます。古いケイカル板は、一見きれいでも劣化により飛散性が高まっているケースもあるため、早めの確認と対策が重要です。
もし所有する建物にケイカル板が使われており、築年数が古い場合は、専門機関への相談や分析依頼を検討しましょう。正確な調査と安全な処理が、健康被害や法的トラブルを防ぐ第一歩になります。
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